黒い天使―私と天使の秘密な関係―
もう、ここは腹を括るしかないのか……。
「わかった……」
私は溜め息混じりにそう言った。
「やっとわかってくれた?」
「わかって言うか諦めた……」
「何だよそれ」
レンがフフと鼻で笑いながら言った。
「ここに住まわせてあげる。でも条件がある」
「条件?」
「レンはその奥の部屋で寝ること」
私はダイニングに続く部屋を指差した。
「私は部屋の隣の寝室で寝るから。寝室には絶対に入って来ないで。もし入ったら追い出すからね。それから部屋の中の物を勝手にさわらないで。冷蔵庫の中の食べ物や飲み物は好きにしていいわ」
「わかったよ。てか、俺、ガキには興味はねぇから安心しろ」
「………なっ!?し、失礼な!私がガキではありません!」
「18なんてなぁ、俺から見たらガキなんだよ」
アンタは一体、何歳なんだよ。
「もしかして期待してた?」
「はい?」
「俺に襲って欲しかったとか?」
レンがニヤリと笑う。
私は首をブンブン左右に振った。
誰も襲ってくれとは言ってないじゃない!
「それから……」
「まだ何かあるのか?」
「私の恋は実ることないかもだけど、万が一、実ったら……さっさと消えてよね」
「へいへい」
こうして口の悪い天使と私との変な同居がスタートした――。