黒い天使―私と天使の秘密な関係―
「ねぇ?」
「あー?」
「さっきから携帯で何してんの?」
換気扇に向かってタバコの煙りを吐き出すレン。
「秘密」
「えぇ!教えてよ~!」
「やだ」
「わかった!彼女でしょ?」
そんだけ隠したがるんだから彼女に決まってるよ。
でも……レンの彼女って、やっぱ天使なのかなぁ?
人間ってことはないよね……。
「はぁ……」
レンが小さな溜め息をついた。
「どうして人間の女って、隠し事をしただけで女ってなるわけ?」
「えっ?違うの?」
てっきり彼女かと……。
「違う。てか、俺、彼女いねぇし」
「えっ?彼女、いないの?」
こんだけイケメンなのに?
「わりぃか!」
「べ、別に悪いなんて言ってないでしょ?」
レンは、携帯をパタンと閉めると、短くなったタバコを空き缶に入れて、ダイニングテーブルの椅子に戻ってきた。
なぜ、こんなにイケメンなのに彼女がいないのか……。
今度はそんな疑問が頭をグルグルしていた。