黒い天使―私と天使の秘密な関係―
「…………あ、あの……」
そう声に出すのがやっとだった。
叫んで助けを呼ぼうか……。
携帯で警察に電話しようか……。
でも、あまりに突然の事で大きな声が出ない……。
手が震えて携帯が取れない。
恐怖で体が動かない……。
椅子に座る男は、もしかしたら本当に変質者とか犯罪者かもしれない。
大声を出したり、警察に電話したら何をされるかわからない。
だったら下手に出て、相手を怒らせることはやめよう……。
「ん?何?」
「どうやって……入ったんですか?」
素朴な疑問を投げかけた。
窓は鍵を閉めてる。
もし開いてたとしても、ここは2階だし、人通りも多い場所だからベランダからの侵入は無理。
玄関の鍵も閉まってた。
壊された形跡もない。
じゃー彼は、ここにどうやって入ったんだろう……。