黒い天使―私と天使の秘密な関係―
Chapter.5*複雑な想い*
「ただいま……」
「おかえり」
レンは換気扇の下で携帯を弄りながらタバコを吸っていた。
「遅くなってゴメンね。すぐ、ご飯作るから……」
パンプスを脱いで上がった。
「残業?」
「えっ?……う、うん……」
何で村上先輩と食事をして帰ったって言えないんだろう……。
村上先輩と食事をして、私のこと本気だって言われて……。
村上先輩とは両想いになれたってことなんだと思う。
もし、それをレンに話したら、レンの修業は終了する。
レンは私の前からいなくなる。
早くレンがいなくなってくれるのは、私が望んでたこと。
言えば、この生活も終わって、私はまた一人暮らしに戻る。
もしかしたら村上先輩とも付き合えるかもしれない。
なのに……ホントのことが言えない。
何故?
自分でもわからない。
この胸に何か突き刺さったような、どうしようもない感情は何?