黒い天使―私と天使の秘密な関係―
「じゃー……この賭けは俺達の勝ちかな?」
喫煙ルームから何人かの男性社員の笑い声が聞こえてきた。
賭け?
賭けって何?
「ちょっ、待てよ。もう少しだって言ったろ?今日中にはどうにか出来るから。そしたら俺の勝ちだ」
村上先輩の笑い声が聞こえる。
「でも、村上も悪だな。純粋そうな上野を騙すんだからな」
「だって結婚したら遊べなくなるだろ?だったら今、遊んどかないとな」
「由美(ユミ)ちゃんが泣くぞ」
「由美にはバレないようにするから大丈夫だって」
再び笑い声が聞こえてきた。
うそ……。
私、騙されてたんだ……。
村上先輩に言われたことは全て嘘だったんだ。
それに村上先輩には婚約者までいたなんて……。
"バサッ――"
手に持っていた化粧ポーチが床に落ちた。
ヤバい……。