天使の笑顔
助手席の窓から顔を出し、ニコニコと鼻歌を歌いながら外を眺める朱理。




風になびく長い髪がくすぐったい。


目を奪われながらも運転に集中する。




「ねぇ、隼人にぃ?」


「何?」




「隼人にぃは彼女いるの?」


真っ直ぐな瞳が俺を見つめる。いつからこんな大人びた顔をするようになったんだよ・・・。





「あぁ・・・いるよ」


俺は自分の気持ちがバレないように、嘘をつくのが精一杯だった。

朱理にとって俺は兄のようなもの。関係を壊したくなかった・・・。



俺は臆病なのかもしれない。
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