論理的サイエンティスト
ねえ渚。
さっきこの女の子の前で、少しだけ微笑んでたよね。
いつもの無表情なんかじゃなかったね。
科学の実験とか、勉強をしているときの渚みたいだった。
「先生?」
「……おそ」
小さな声で呟いた声は聞こえなかったけど、ものすごく不機嫌そうにしているのはわかる。
女の子は一度首を傾げてから、こちらに笑顔を向けた。
「どなたですか?今先生、ちょっとテンション低いのでー、私、聞きましょうか?」
「…え」
あぁ、用があって来たとかかと思ったのかな。
違うのに。
渚だってわかってるはずなのに、なんで言ってくれないの。
あたしじゃ言いにくいに決まってんでしょ。
「えと、渚に用事が……」
だけど渚が言ってくれるわけないから、仕方なくそう言ったあたしに。
女の子は一度きょとんとした。