論理的サイエンティスト

「え、先生に?…渚って……」

あ。

渚なんて言っちゃダメだったのかもしれない。

ここは大学で、無関係者が助教授を下の名前で呼ぶなんてダメなのかも。


「すいませ…

「お邪魔しましたっ!!」

急いで謝ろうとしたところを、女の子はすごいスピードで科学室を出ていった。


なに、今の。

最後のにんまり笑った顔。


わけがわからなくて困惑していると、渚が舌打ちする。

「コーヒー」

単語だけでしゃべっていても、不機嫌なのが丸わかりだ。


そもそも、怒る理由はあっても、あたしが怒られる理由はどこにもないと思うのだけれど。

ードンッ!!

そう思うとムカついてきて、乱暴に渚の机の上にコーヒーを置く。

だけど渚は気にする様子もなく、そのコーヒーを受け取った。


< 12 / 45 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop