論理的サイエンティスト
缶のフタを開けて飲み始める。
最初に放った一言は、
「ぬるい」
だった。
やっぱりそれにカッチーンときて、渚を思いっきり睨みつける。
けれど渚はこっちを見ようともせず、まだコーヒーを飲んでいた。
「渚」
「…」
返事ないけど、聞こえてんのはわかってんだよ。
「渚、今の子、だれ?」
イライラしてるあたしは、そんなことも簡単に聞けてしまった。
「なに苛ついてるわけ。コーヒーが温いのは仁那の所為だろ」
だれもコーヒーのことなんて言ってねえよ!
なんて思わず叫びそうになるのを抑えて、もう一度聞く。
「今の子、だれなの?」
灰色の澄んだ瞳をとらえようとしたのに、伏せ目にしたまま動かない。