論理的サイエンティスト
「あたしにあんな風に笑わないくせに!目も向けてくれないくせに!」
怒ってるのか不満を言ってるのか、全然わかんない。
こんなの、カチカチ頭の渚に伝わるわけない。
だけど、もういい。
「もういいよ!渚なんか、大っ嫌い!」
いつの間にか溢れ出した涙を拭うことなく渚を見ると、やっぱり視界がぼやけて見えなかった。
だけどきっといつもみたいに、
『面倒くさい』
って顔をしてるんだ。
一度動いた部屋の中の空気はすでに止まっていて、
いつもの薄暗さが戻っている。
あたしが動かせた空気は、たったそれだけ。
「本当、大っ嫌い…」
…に、なってやる。
何も言ってくれない渚に小さく呟いて、
科学室を出ていった。