論理的サイエンティスト
最後の最後に告白なんてしなければ、
こんなに好きって思っちゃうこともなかったわけで。
あんなに悩むこともなかったんだ。
「馬鹿だなー、あたし」
シンと静まり返ったマンションの部屋の中で、溜息を零した。
なんであんなこと、言っちゃったんだろう。
そんな問いをするけれど、別に答えはわかってる。
アイツが。
滅多に見せてくれない笑顔を向けていたからだよ。
あたしが一番好きな顔をしてたからだ。
あたしに笑いかけることなんてないし、その上目すら合わせようとしない。
だから嫉妬しただけ。
当然渚には理解できないような心だよ、全く。
もう一度、溜息を零す。
ベッドに顔を埋めながら思った。
あたしと渚じゃ違いすぎたんだ。
もっと違う人を好きになるべきだったんだ。