論理的サイエンティスト
「そんで、その人は入ってくるなりその椅子に座ったんだ」
え。
「それはもうびっくりだね。あの椅子に誰かが座ろうとすると、雨來先生、むちゃくちゃ睨むから」
……え。
「そんで、あの冷たい銀色の瞳を少し細めて。優しい瞳を一瞬だけ向けたんだよ」
僚右君は相変わらずにっこり笑って、そう言った。
「俺はびっくりしてびっくりして、その女性に話しかけようとしたわけだ。そしたら…」
「……、そしたら…?」
「止められちゃった、不機嫌な雨來先生に。『仁那、コーヒー』ってね」
…!!
なにそれ、
そんなの知らないよ…。
渚はいつも不機嫌だし、冷たいし。
あたしに、優しい瞳を向けてた?
そんなの、あるわけない。
「まあ、これを聞いてどうするかは四条さん次第。だけどね、雨來先生荒れてるんだ」
「…え?」
荒れてる、なんて、渚に似合わない言葉。