論理的サイエンティスト
でも、慌てるまでもないかもしれない。
あたしの知る渚は、こんなとこに来るような人じゃない。
むしろ限りなく遠い。
そう思ったらなんとなく安心して、先輩達との雑談を楽しみながら、美味しいA定食を食べた。
「それでさ、あの店長!もーセクハラばっかり……」
先輩が言葉を切ったのはきっと、周りの変化を感じたからだ。
あたしも少し異変を感じた。
なんとなくザワザワしだして、女の子達なんてそわそわしてる。
「どうしたんですかね?」
「さあ……。なんかイケメンでもいるんじゃない?」
だったらいいな、が込められた物言いで、先輩が言った。
イ、イケメン……
ある男の顔が思い浮かぶけれど、それは違うと即否定する。
こんなところに出てくるヤツじゃない。
だけどそれも、だんだんと無視できない可能性になってきた。