論理的サイエンティスト

でも、慌てるまでもないかもしれない。


あたしの知る渚は、こんなとこに来るような人じゃない。

むしろ限りなく遠い。


そう思ったらなんとなく安心して、先輩達との雑談を楽しみながら、美味しいA定食を食べた。


「それでさ、あの店長!もーセクハラばっかり……」

先輩が言葉を切ったのはきっと、周りの変化を感じたからだ。


あたしも少し異変を感じた。

なんとなくザワザワしだして、女の子達なんてそわそわしてる。


「どうしたんですかね?」

「さあ……。なんかイケメンでもいるんじゃない?」

だったらいいな、が込められた物言いで、先輩が言った。


イ、イケメン……

ある男の顔が思い浮かぶけれど、それは違うと即否定する。

こんなところに出てくるヤツじゃない。


だけどそれも、だんだんと無視できない可能性になってきた。


< 32 / 45 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop