論理的サイエンティスト
「来てるんだって!」
「うそっ、滅多に研究室から出てこないのに?」
「だって銀色の髪が見えるじゃない!!」
違う。
違うはず。
違う、と信じたい。
「仁那」
大勢の生徒達の間を突き抜けて出てきたのは、銀色の髪と銀色の瞳。
気崩した白衣から伸びた手であたしの腕を強く強く掴む。
渚だった。
「来い」
「は?」
「ちょっとこれもらいます」
「はい?」
「お前は黙って」
いきなり最上級のイケメンに声をかけられた先輩達は、抵抗してるあたしを見もしないで「どうぞ…」なんて返事をしてる。
ちょっとまってよ!
あたし一言もいいなんていってないじゃない!
なのに、腕をグイッと引っ張られたと思えば、学生達がジロジロ見る中、渚に腕を引かれていた。