論理的サイエンティスト

「だって、渚が何考えてるのか、全然わかんないんだもん…」

あたしのことなんか興味ないくせに、
なんで連れ出したりするの?

どうして何も言ってくれないの?

ただでさえ掴めない人間なのに、そんなんじゃもっとわからない。



「……俺は、別に、科学のことしか考えるつもりない」

ポツリと渚からでた言葉は、たしかに予想してた範疇だけど
やっぱり涙が溢れる。

じゃあホントににどうして連れ出したの。

わけわかんないよ

「だから…ホント調子狂う」

そっぽを見ながら、渚は続けた。


……、……

「は?」

マヌケな声を一つ出すと、渚に睨まれる。

銀色の瞳を一度あたしに向けて、不機嫌そうに口を噤んだ。


「…どうしたらそばにいる?」

小さく、聞こえないくらいの声で呟かれた言葉の意味が、掴めない。


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