論理的サイエンティスト
これは、夢?
あたしが渚の持つ独特の空気を、動かしてる?
「なに」
信じられなくて、目を見開いて見つめていただけなのに。
不機嫌そうに睨まれる。
そんな仕草が不安になるのに
ただの自惚れかもしれないって思っちゃう。
「…あたしのこと、好きなの?」
「……聞く?そこで?」
「だって、全然わかんない」
渚の頭の中なんて覗けるわけじゃないんだから、わからないよ。
ただでさえ普通とは考えてること違いそうなのに。
瞳に涙がたまって、視界が潤む。
それをみてまた渚はそっぽを向いた。
「ずるい…」
ボソッと呟かれた言葉は聞こえなかったけれど、渚は大きな溜息を零す。
シンと静まり返った科学室の中で、動く空気は二つだけ。
あたしと渚しかいないその空間はいつもと同じなのに、いつもと違っていた。