論理的サイエンティスト
これで毎回、実験が終わると、『仁那、コーヒー』って……
「仁那(ニナ)、コーヒー」
あぁ今日も。
実験室の机に寄りかかりながら、やっとこっちを見るんだ。
切れ長だけど大きめな目に、瞳が灰色。
髪は銀色みたいに綺麗。
黙っていれば最高の美男子って言えるのに、性格は最悪の魔王みたいな男なんだよ。
「……はいはい」
毎回、黙って従っちゃうあたしもあたしだけど。
惚れてしまったもんはしょうがない、と諦めた。
だってアイツが実験するときに呼ぶのは、あたしだけだもん。
この大学とは関係ない、ただこの近くのファーストフード店で働いてるだけのあたしを呼び出す。
研修生だっていっぱいいるはず。
だからそれを、特別だと思いたい。