論理的サイエンティスト
「この前あたしが来たときに、いた子」
結構アバウトな説明だったけれど、それで渚は理解したらしい。
あぁ、と声を漏らしてから、怪訝そうな瞳をあたしに向けた。
「あれ、生徒だけど」
そんなの会話からわかってるから!
渚は女心がわからないらしい。
きっとそう言ったら、「そんなの科学で証明できないから信じない」とか言っちゃいそうで怖い。
「だけど、笑ってたもん」
「、は?」
「渚は滅多に笑わないのに、あの子には笑いかけてたじゃん!」
心底わけがわからなさそうにする渚に、ちょっとだけ逆切れ。
した後にすぐ後悔するのだけれど。
それくらいモヤモヤしたんだ。
優しい瞳なんて向けるんだから。
そんな嫉妬心なんて、カケラもわかってるわけないけど。
「……。…彼女は、アレでも今年のトップ入学者だから。専攻は科学だし、熱心に勉強してる」
あたしから視線をずらして、渚はそう答えた。