論理的サイエンティスト

「え、マジで?」

「すいませんっ。あの、知り合いがいるもので…」

すごく無口で冷たい科学者の、知り合いが。


心の中でそういいながら、男の子に謝る。


「いえ、そうじゃなくて。あ、俺、蓮見僚右って言います」

彼は、僚右でいいですよ、といいながらふんわりと微笑んだ。


あぁ、なんか本当に好青年。

顔立ちだけだったら渚のが綺麗なんだけど、この雰囲気の違いが。


「心理学科の助教授です」

しかも心理学だよ、かっこいいな、おい。

「あ、えっと…」

「あ、私は、四条仁那(シジョウニナ)です」

僚右君の持つ空気は柔らかくて、初対面なのにそっと絡めとられる感じ。

渚の持つものとは正反対だ。

あれは、いつも世界を『他人と自分』に二分してて、遮るような厚い空気を纏ってる。


……違うか。

アイツのカテゴリーは『他人』、『自分』、『科学』だった。



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