Tears story〜人魚姫の涙〜

「とりあえずうちのバカ息子にはよーく言い聞かせとくから。気にしなくていいのよ〜、ほんっとに誰に似たのかしらね〜」


パパパンッ!

おほほほほ、と笑いながら、今度は器用に平手で、バカ息子らしいゼンの両頬をはたくおばさん。

その言い聞かせるっていうのが、とんでもなく冗談に聞こえないのは何故なんだろう。


「…はあ……」


とりあえずおばさんにとって、俺達が邪魔なんだろう。
そう思った俺は手を差し出した。


「アリネ、立てる?」


「え?」

地面に座り込むアリネに手を伸ばしたら、キョトンとした表情を向けられて、俺は思わず苦笑した。



……そんなに珍しいかな。こういう風にするの。



「あ…。う、うん…っ」


アリネは戸惑いながらも、俺の手に手を重ねる。



「!」

けど、その足はすぐに崩れてしまった。

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