Tears story〜人魚姫の涙〜
***
「………」
肩にかつがれ、歩き出してから。
暴れていたアリネは諦めたのか、すっかりおとなしくされるがままだった。
「!」
だけど気付くんだ。
彼女から感じる、いつも以上に熱い温もりを。
熱くなってる耳を。
頬を。
「…………」
ぎゅっ。
首元を細い腕で抱きしめて、小刻みに震える、小さなカラダを。
「…シ…オン」
切なく、俺の名を呼ぶその声を。
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