エンレン。
出会いと別れ
「うちねー、拓人と別れたー」
私は、どこか寂し気な、でも吹っ切れたような声でそう言った。
「えー!」「やっぱ…」
それを聞いていた莉衣奈(りいな)と稀(まれ)は、それぞれに反応をする。
「なんか、価値観の違いってゆーか、あいつ意味わかんないし。ははっ」
「そっかー。まぁ、たしかにあれはよくわかんないわなー。」
拓人は、2つ上の昨日まで私の彼氏だったひと。なんか、年上のくせに子供っぽいところが目立って、冷めてしまい別れた、といったところだった。
「華凛(かりん)、無理しないでね。」
稀がぼそっと呟く。
いつもは冷たいけど、ほんとはうちのことちゃんとわかってくれて優しい稀。
たしかにうちから別れを告げたとはいえ、半年間大好きだったひと。辛くないって言ったら、嘘になる。
だから、稀のそのなんでもない1言が、とっても心強かった。