Garden3
プレゼント
「はぃ、これ」
手渡されたものは、タバコよりも、少し大きいサイズの箱。
分かりやすく、正面にぺっとコンビニのテープが貼ってある。
…なに、これ?
半ば言葉を失った俺に、彼女は驚いた顔で言う。
「見たことぐらいあるでしょう?」
これが何かってことぐらいは見りゃ分かるっつーの。
俺が言いたいのは、これを俺にどうしろってことなんだけど…
さすがに、説明が足りないと思ったのか、彼女はにこやかに言った。
「あなたも15才になったことだし。誕生日プレゼントよ」
…それがこれかよ?
俺の視線に気付いているのに、あっさりとそれをシカトして。
笑顔のまま彼女は続ける。
「必要になるでしょう?」
はは、ありがとう。
…とでも言うと思ったのかよ!
どこの世界に、息子の誕生日にコンビニでコンドームを買ってプレゼントする母親がいんだよっっ!!
「いるじゃない、ここに」
しゃあしゃあとそう言ってのける母親に、怒る力も抜けていく。
…分かったよ、もうどうでもいいよ。
しっぽを垂れて、部屋に戻ろうとする俺を、珍しく強い口調で母親が引き止めた。
「どうでもよくないわよ」