─ Alice ?─
無理矢理顎を掴み、
噛み付くように
唇を奪われる。
「んんッ……ん──!?」
口内に感じる
生温かいあの感触。
帽子屋さんとは違う
荒い口付け。
嫌だ!!こんなの…
思わず涙が滲む。
視界が歪み、まともに
シロウサギさんが見えない。
『アア…アリス。
帽子屋は、
あなたのこの
真っ赤な唇に
口付けたのですか??
あなたのこの
しなやかな体を
抱き締めたのですか??
あなたは私の…
私だけのアリスなのに!!
何故…?
何故なのですか!?』
発狂したように
私を揺さぶり
叫び続ける。
「シロウサギさん!!止めて!!
私はあなたのもの
なんかじゃないわ。
それに、
あなたに愛を誓う
つもりもない!!」
思わず感情に任せて
吐き捨ててしまう。
気づいた時には
すでに遅すぎた。
私に向けられる
《 紅 》い瞳には
怒り でも
悲しみ でもない
《 狂艶 》 が
写し出されていた。