─ Alice ?─
「お前を……何??
真剣な表情のチェシャ猫に
つられ私も真剣に問う。
はっとしたような、
でもどこか苦しげな
表情を一瞬映した。
「いや、何でもない。
何でもないんだ…。」
まるで自分に
言い聞かせるように
呟き、腕を離す。
だけど
「ねえ。」
納得いかない。
チェシャ猫はいつだって
何でもない、の
一点張り。
「……なんだ?」
私には何も
教えてくれない。
聞かなかったら
いいのに、
聞かなかったら
ずっと 一緒 に
いられるのに…─
「何を隠しているの?」
ねえ あなたは
私に 何を
隠しているの?
どうして目を逸らすの?
ねえ、どうして ?
「…アリス。」
「ど、うしてよ…」
「アリス?」
「どうして、なの…?」
止まらない
「落ち着け、アリ「どうして私には何も言わないの! ?どうして助けてくれなかったの!?チェシャ猫は私のことが…─ッ」
言葉を失った。
目の前のチェシャ猫が
とても悲しそうな目で
私を見つめていたから。
「あ、ごめんなさ…」
「アリス。 俺は…─」
決して目を逸らさず
ただ、私だけを
見つめながら話しだす。
「俺はもう、
アリスを守れない。」