─ Alice ?─
「欲しいもの?
お菓子?ゲーム?
残念だけど私
そんなもの持ってないし
お金もないわよ。」
我ながら冷たい大人だ。
『そんなものイラナイ。
僕ね、
オモチャが欲しいんだ。』
オモチャ?
いや、
お菓子やゲームと同じく
持ってないわよ。
「残念だけど…
私持ってないわ。」
ごめんね、と
表面上の詫びを入れ
さっさとこの場から
離れようとするも、
白兎は笑顔のまま
私に話かける。
『持ってるよ。』
?
ワケがわからない。
私は何も持っていない。
何にも ない。
『アリスは
僕の欲しいもの
何でも持っているよ?』
ダカラサ、と付け加え
スススッと近づき
私の耳元で囁く。
『アリスのオモチャ、頂戴?』
─ 狂い かけた
君 の
忠実 な《 猫 》を
僕に 頂 戴 。