─ Alice ?─



ハッ……ハァ………


虫の息のように
僅かに息をしている
その何か。


人、だったのだろう。

服はボロボロで
皮膚は焼きただれ、
表情はわからない。



帽子屋さんは
それの髪を引きづりながら
私の目の前に差し出し、
ニコリと笑う。







「こうするのですよ。」



プシャアアァァアア!!!!




真っ赤な液体が
勢いよく噴き出す。



鮮やかな 鮮血が
目の前の それ から
勢いよく噴き出す。




「ア゙……アァ゙…アヒ、ヒア゙………。」





グシャ、と
後味の悪い音をたて
地面に落ちたそれの目は、
私を見つめ笑っていた。



「うッ……ウェ…!!!」

激しい吐き気が襲う。



駄目、我慢しなきゃ…



「アリス、どうなさったのですか?
さあ、始まりますよ。
よーく、
目に焼き付けて下さいね?」




顔を上げると
そこは




「イ、イヤァアアアアァアアァァア!!!!!!!!」




崩れたそれに
群がる蔓がまるで
獣のようにそれを喰らう姿。



そして
蔓の先の薔薇が鮮やかに
色付いていく
残酷で 美しい 光景。
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