─ Alice ?─
少女が初めて
躊躇ったように見えた。
「……ええ、ア イ シ テ ル わ。」
そう言った瞬間だった。
当たり一面が
目映く光り出した。
『──僕の、勝ち。』
ニッ、と意地悪く
笑う顔が見えた。
「アリスは白兎様を選ばれた!!
アリスは白兎様を選ばれたぞ!!」
ワアアア、と歓声が聞こえる。
しかし、
歓声に混じり別の声が
する気がした。
少女を咎める声が。
「何故だアリス!
何故俺を選ばない!?」
「私をアイシテ!!!
私を、私だけを…!!」
「嫌だーーーー!!
アリスは僕だけの物だ!!」
悲鳴にも似た
悲痛な叫びが飛び交う。
『アハハハハハ!!!!
黙れ葛ども!!
アリスは僕のだ!!
僕だけの物だ!!』
笑い転げる白兎の後ろで
少女は震えながら
何かを見つめていた。
「ヤダ…ねえ、白兎?
私のこと、スキなのよ、ね?
だったら…
こんなこと、やめ、て……!」
何が起こっているのか、
分からない。
ただ、
少女の様子が普通でない。
足元の何かに怯えて……
足元?
「やだ!!死にたくない!!」
足元には蔓の群。
扉から凄まじい勢いで
少女目掛けて伸び絡む。
『永遠に、
僕のアリスで居続けてよ。
愛しい愛しい
僕の ア リ ス ♪』