─ Alice ?─
耳が痛いほど
壊れたように笑い出す
白兎は、
誰がみても
イ カ レ ているだろう。
「そうですね。
ではそうさせて頂きましょう。」
ニコリ、と笑い
蔓の群れに近づく。
すると、
少女を飲み込んでいた蔓たちは
スルスルと離れ、ズルリと
血塗れた少女が落ちてきた。
「さあ、アリス。
帰りましょう?
薔薇たちがあなたを
お待ちしておりますよ。」
優しい、声で少女に言う。
「アリス?帰りましょう?」
無理矢理、
連れていこうと引っ張るが、
少女は抵抗する。
「……イ゙ヤ…。
喰わ、れる…くらい、
なら………
死、んでやる。」
ダンッ!!!
周りを張り倒し、
全身の力を振り絞り
少女は走り出す。
「帽子屋、帽子屋……
スキ、だったのにぃ……
グズッ…スキ、なのにぃ…!!!」
胸が痛くなる。
少女は、
このアリスという少女は、
本当に帽子屋さんを
スキだったのだろう。
「グズッ……ハアッ…
う、あ…死ん、でやる…!!」