─ Alice ?─
辿り着いた先は
料理場だった。
薄灯りが灯され、
包丁や鍋が鈍く光る。
少し先には大きな釜戸があり、
炎に照らされ、
影が揺らいだのが見えた。
「………アリスか。」
影の正体は一人の女性。
薄明かりの為、
はっきりは見えないが、
美人だということは分かる。
「メアリ・アン……
お、願い…私、私を……!!」
メアリ・アンと呼ばれた女は
目だけでアリスを確認し、
こっち、と手招きする。
「私、が死んだ、ら…
帽子屋、悲しむかな…?」
切なげに言う少女は
クスリ、と笑い
大きな釜戸の煮えたぎる鍋に
飛び込んだ。
「いや゙ぁああ゙ああづいあづいいぃいああ゙ぁあづぃいいあああ゙ぁぁぁあづいぃい゙やああ゙ぁあああっあづいい゙やっあっ!!帽子屋あああああーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!」
少女の
悲痛な叫びが響き渡る。
目の前の惨劇に私は
ただ吐き気を抑えるだけで
精一杯だった。