─ Alice ?─
私の髪に挿した薔薇を
うっとりとした表情で
触りながら
さらに言葉を繋げる。
「ですが、
前代のアリスは期待外れでしたね。
余りにも簡単過ぎて、
すぐに飽きてしまった。
私は、
心からアイサレタイなんて
思っていません。
只、形だけのアイが…
"力"が欲しいのです。
それに……
私に嫌々抱かれるアリスの方が
さぞかし美しく、
淫らに乱れて
くれるでしょう?
私はそういう姿を
見ることで快楽を
得られるのです。」
ニッ、と口元を歪ませ
妖艶な表情で
こちらを見る帽子屋さんは
紳士、なんて言葉
確実に誰が見ていても
当てはまらないだろう。