─ Alice ?─
「さあ、アリス。」
スッと手を差し出す。
アメジストの瞳は、
私を吸い込むように
美しく、魅力的で、
体が、動かなくなる。
体が動かな、い……!?
足元を見ると
薔薇の蔓が私の足に
絡み付き身動きを
取れぬようにしていた。
「ちょっ…帽子屋さ…」
言葉は最後まで
発せられなかった。
唇を、唇で
塞がれてしまったから。
「ん、んー!!いやッ…!!」
帽子屋さんの胸を
ドンドンと叩き必死に抵抗する。
が、その姿を見て
さらに笑みを深くする。
「 ア リ ス ……… ア リ ス 。
あなたの全てを
全ての乱れを
私に教えてくださイ。」