─ Alice ?─



***


「連れて行って?」




そう言ったのが
ハッキリ聞こえた。



嗚呼、
私は貴女を傷付けて
しまったのですね。


貴女の甘い声、香り、姿に
我を見失い

貴女を欲するがままに
行動してしまった。



貴女の拒絶に胸が高鳴った。


貴女の涙に体が震えた。


貴女の全てが
私の中の【 狂い 】を
掻き出してしまう。




愛しい人よ、
私はもう元には
戻れないのですか?


愛しい人よ、
もう私をア イ シ テ は
くれないのですか?



私を美しい薔薇に
戻して下さい。



心から私をア イ シ テ。




「 ア 、 リ ス ……。」



上手く言葉が出てこない。



そんな私の言葉を聞き
ビクッとしたのが見えた。


「時間切れのようだ。
さあアリス、急ごう。」


ハートエース……
貴様のせいか。


私のアリスを奪い、
何を企んでいる?



嗚呼、そうか。
お前は忠実な騎士。
主の望みは必ず叶える、
そうだった。


今回もそうなのだろう?


ならば私は
必ず貴様たちから
愛しい彼女を
助け出して見せよう。


アリス、

アリス、

愛しいアリス。


少しだけ我慢してくださいね?

必ず私が貴女を
助けて差し上げます。






ア イ シ テ イ マ ス 。




ワタシ の アリス 。
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