─ Alice ?─
「ヒィイイィィイ!!!!!無理無理無理無理!!ちょっ……ちょっと止まってぇぇええぇえ!!!」
「ハハハ!!
何を怖がっているのだアリス
。風が気持ちいい
じゃないか。」
今、私はハートエースに
抱えられたまま、
凄まじい勢いで
森を抜けています。
ハートエースったら
とっても足が速いの♪
って……速いとか
そんなもんじゃない!
車や電車なんて瞬時に
抜いてしまうほどの速さ。
「鍛えているからさ!」
「鍛えて出来ること!?」
この世界は無茶苦茶だ。
───────いた。
「……あれ?今なんか言った?」
「私は何も?」
────見つけたぞ、アリス。
「でも、声が…」
───さあ、おいで。
妾とアソボウ。
「……アリス。
暫くの間目を閉じて。
私にしっかり
掴まっていなさい。」
「え…うん、わかった。」
ギュッと掴まり、
目を閉じると今までよりも
速い速度で
駆け抜けていくのがわかった。
すると先程の声は
聞こえなくなり、
誰かの柔らかい声がした。