─ Alice ?─



必要としている力?


キングが何を言いたいのか
全くわからなかった。


私が必要としている力
そんなものない…


「元の世界へ
帰りたいのであれば
《 導き 》のチェシャ猫。

国へとどまり、皆を
従わせたいのであれば
《 制圧 》の俺を。

狂った愛に埋もれ、
欲望と独占に
支配されたいのであれば
《 空間 》のシロウサギを。

永遠の美に溺れ、
薔薇に酔い、狂い、
散りたいのであれば
《 誘惑 》の帽子屋を。」



次々と名をあげ出す。


チェシャ猫の《 導き 》は
以前耳にしたことがある。
だが、シロウサギさん、
帽子屋さんの《 役 》に
疑問を抱いた。


「キングの《 役 》は
なんとなく理解できるけど…
その、
《 空間 》と《 誘惑 》
って…?」



「アリス、よーく思い出してみろ。


お前にしか見えない
薔薇のトンネルで
誰に出会った?

何故、お前にしか見えない?

それは空間を操り
お前を引き寄せたからだ。」


!!

そういうことだったんだ。

確かにあの時、
私にしかトンネルは
見えていなかった。

私しか入らなかった。

それは私の周りの空間を
シロウサギさんが
操っていたからだった
なんて…

頭の中は様々なことで
破裂しそうだった。



「帽子屋の《 誘惑 》
だって、そうだろう?」
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