─ Alice ?─



白兎がシロウサギさん…?─


それって…


「二人は、
同一人物ってこと…?」


ゴクッ
思わず息をのむ。



『元々は、と言った方が
正解かもしれませんね。』


背後からした声に驚き
後ろを振り向くと、
シロウサギさんが微笑んでいた。


前には白兎

後ろにはシロウサギさん



居心地悪いったら
ありゃしない。


『アリスは、自分の中にいる
もう一人の自分を
自覚したことがありますか?』



もう一人の、自分?



何のことだかサッパリ…


『自分の中にある
もう一つの意志…

アリス、
貴女は欲しいものがあるとき、
どのような考えが
よぎりますか?」




「欲しいけど
我慢しよう、とか
でも今しかないかも
しれないし
やっぱ買おうかな?
でも我慢よ!…って
感じかしら。」


結局欲求に負けていつも
買うんだけど。
あえてそこは伏せておく。


『ほら、
二つのアリスが戦ってる♪

欲求に忠実なアリス、
欲求を抑制するアリス。』


あ、そういうのも
もう一人の私になるんだ。

私はてっきり
二重人格のように
全く違うものかと…


『人によって異なるのです。
アリスの場合は
忠実と抑制ですが…


私達はそうではなかった。』


『噛み合うわけが
なかったんだ、

元から違いすぎた。』


フフッと笑い、
二人は顔を見合わせる。


『僕は、欲しい《モノ》は
どんな手を使おうと
必ず手に入れるよ。』

ニカッと笑い、白兎が言う。


『私は、欲しい《モノ》に
遠慮などしません。
必ず手に入れます。』



……同じじゃないか?
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