─ Alice ?─



「ちぇしゃ猫!!ちぇしゃ猫!!
おんぶしておんぶ!!」


幼い女の子がピョンピョン
跳ねながら紫の人物に近づく。


「はいはい後でな。」


あの面倒くさそうな態度は
間違いなく私の知っている
チェシャ猫だ。


「ぶー!
ちぇしゃ猫はいつも
後でばっかり!!

ありすのこと、本当に大切?」


あ り す



その言葉が妙に引っかかった


それにこの女の子…
知っている気がする。


「ああ、大切だ。
お前はアリスだからな。」


「ちーがーうっ!!

大切ならもっと
遊んでくれるもん!!

もっと構ってくれるもん!!

やっぱりちぇしゃは…ひゃあ!!」



ひょいっと女の子を持ち上げ、
肩車をする。

すると少女は頬を
ピンク色に染め、
チェシャ猫の頭にぎゅっと
しがみついていた。


「俺はアリスが大好きだよ。
世界で一番大好きだ。」


「えへへ…
ありすもちぇしゃがだーいすき!!」


純粋な笑顔

純粋な言葉

はたから見ればとても
愛らしい姿だろう。

なのに何故だか、
笑顔と言葉を聞いた瞬間、

胸騒ぎがした。


駄目、言っては駄目、と。

まるでこの先を
知っているような感覚。


そしてチェシャ猫が妖しく笑った。

「アリス… ア イ シ テ ル よ。」


「あいしてる?あいしてるって何?
すきと一緒?」


駄目!!聞いちゃ駄目!!



「一緒だよ。好きの最大級だよ。」


チェシャ猫の瞳に妖艶が映る。


「じゃあありすは」

駄目!!言わないで!!


「ちぇしゃのこと」


お願い止めて…!!!!



「 ア イ シ テ ル よ!」



イ ッ テ ハ ダ メ ナ ノ ニ 。



狂い出す。確実に。


チェシャ猫はアリスを欲し

狂い出す。
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