─ Alice ?─



「いや゙あぁあああ!!!
痛いっ!!痛いぃい゙ー!!!」



女の子の悲痛な叫び声が響く。


痛みに顔を歪ませ

足からは真っ赤な鮮血

そんな泣き叫ぶ女の子をみて




猫は笑った。




鋭い爪をねじ込ませながら



猫は笑っていた。



あれがチェシャ猫。



私の 忠実な …─





「うっ…ひっく…
痛いよぅ……ちぇしゃ猫、
なんで…?
ど、うして爪、刺したの?

ありすのこと、嫌いなったの?」



ううん、違うよ。


「ううん、違うよ。」



「グズッ……じゃあ、何で?」


……好きだからだよ。


「好きだからだよ。」


「好き?本当に…?」



殺したいほど、ね。



「ああ、殺したいほど、ね。」



次から次に言葉が頭をよぎる。


チェシャ猫の次の言葉が
何故か浮かぶ。


まるで知っているかのように


まるで記憶が蘇ったように




記憶 が 蘇った ?



あ り す?



御 褒 美?





あ り す ありす



あリ す あリス


ア リ ス 君はアリス



君は ア リ ス 。

僕だけの Alice ─




「駄目!!!思い出さないで!!」


嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ!!!
思い出したくない!!
見たくない!!聞きたくない!!


忘れるって決めたの


傷つくのはもう嫌なの。


チェシャ猫は


チェシャ猫だけはせめて


私の味方でいてほしいの


思い出したら

もう戻れない。



もう、貴方の側に
い ら れ な い 。
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