─ Alice ?─
チェシャ猫の欲望。
それは私を手に入れること。
今、私の上にはチェシャ猫が
覆い被さっている状態。
襲うことだって
噛み付くことだって
殺すことだってできる。
だけど、チェシャ猫を
払いのけることが出来ない。
シロウサギさんや帽子屋さんみたいに
狂いに狂っているわけではない
きっと、まだ間に合う。
「チェシャ猫。
私が必ず貴方を元に戻すから。
だから待ってて?
必ず、黒兎を助けて…!?」
助けてくるから
そう、言いかけたとき
首筋に感じた
鋭く、冷たい、感触と
生温かい 獣の吐息。
「……間に合わない、さ。
もう、限界。」
プツッ
「うあ゙ぁあああ゙ぃやあ゙
あぁああぁぁあやあ゙あ
ーーーーーーっ!!!!」
体に走る鋭い痛みと同時に
体から抜けていく血液と力
そして感じる 寂しさと
もう、誰もいないという
絶望感。