─ Alice ?─
悩んでいる時間はない。
私はすぐに言葉を発した。
「教えて。」と一言。
すると少し先に
扉があることに気づいた。
傷だらけの鉄の扉。
全てを拒み続け、
何かを守ってきたように
重く、傷付いた扉。
所々の錆は、血だろう。
赤黒くこびりついている。
─ 開けよ。 ─
ギイィィイ
吸い寄せられるように
扉の中へ足を踏み出す。
中へ入った瞬間、
扉は勢いよく閉じ、辺りは真っ暗。
「え!!ちょっと…」
扉に触れると、
僅かに凹凸があり、模様が
あることに気づいた。
「……ダイア?」
そう呟いた瞬間、一斉に照明が灯される。
「待っておったぞアリス!!
よくぞここまで辿り着いた。」
バッと振り返ると、
今まで見たことないような
絶世の美女。
漆黒の長い髪に漆黒のドレス
肌は真っ白で瞳は真紅のよう
余りの美貌に思わず息を飲む。
「そう緊張するな、アリス。悪いようにはせぬ。」
スッ、と私の頬に触れ、
微笑みながら囁く。
「妾は助言者ダイヤ。
【 黒 】の狂主。」