─ Alice ?─
「大体アリスは…─」
もはや愚痴のように
私に説教をしだすハートエース。
はいはい、と
軽く受け流していると、
急に神妙な顔つきで
私を見つめた。
「な、なに…?」
「貴女という人は…
どうしてそう危機感がないのだ。」
悲しそうな、だがどこか
怒りが籠もったように
私に言い放つ。
「白兎様は……白兎様は、
貴女のことを守る為に…─」
ハッ、としたように
私から目を逸らす。
「白兎が…何?」
何かを隠している。
白兎?私を守る為?
全く分からない。
「……気になさるな。独り言だ。」
さっきまでの爽やかな
笑顔なんて微塵もない。
険しい表情でどこか
遠くを見つめていた。
「…私は独り言が多いのだ。
これから話すことも
ただの独り言だ。
いいか?ただの独り言だ。」
えーっと………
教えてくれるって
解釈していいのよね?
「……きっとアリスは
勘違いをされている。
白兎様は…白兎様は……、
自らの意志で皆を
狂わせているわけでは
ないのだ…。」