─ Alice ?─
「えっ…な、何!?」
何が起きているのか分からない。
ただ、目の前の双子の様子が
可笑しいことは分かる。
前会ったときは普通だったのに…
「邪魔だよ、ダム。」
「邪魔だよ、ディー。」
「「アリスは僕のだ!!」」
鎌を振り回し激しい乱闘が始まる。
仲良しの二人が
私のせいで
殺し合いをしている。
また、私のせいで…─
「見つけましたよ、アリス。」
後ろから聞こえる甘い声。
そして鼻腔を擽るこの香り。
「全く…ハートエースのせいで
手こずってしまいましたが…
先程、借りも返せましたし、
よしとしましょう…。」
どうして、此処にいるのか
理解できなかった。
薔薇なんて、咲いていない。
薔薇なんて一輪も…─
一輪、の 薔 薇 ?
「その薔薇、
気にいっていただけましたか?
まだ何にも染まっていない
真っ白な薔薇…
一体何色に染まるのか、
楽しみですね? ア リ ス 。」