─ Alice ?─



「えっ…な、何!?」

何が起きているのか分からない。


ただ、目の前の双子の様子が
可笑しいことは分かる。


前会ったときは普通だったのに…


「邪魔だよ、ダム。」
「邪魔だよ、ディー。」

「「アリスは僕のだ!!」」


鎌を振り回し激しい乱闘が始まる。


仲良しの二人が

私のせいで

殺し合いをしている。



また、私のせいで…─





「見つけましたよ、アリス。」



後ろから聞こえる甘い声。
そして鼻腔を擽るこの香り。


「全く…ハートエースのせいで
手こずってしまいましたが…
先程、借りも返せましたし、
よしとしましょう…。」


どうして、此処にいるのか
理解できなかった。


薔薇なんて、咲いていない。


薔薇なんて一輪も…─




一輪、の 薔 薇 ?



「その薔薇、

気にいっていただけましたか?


まだ何にも染まっていない
真っ白な薔薇…


一体何色に染まるのか、
楽しみですね? ア リ ス 。」
< 204 / 397 >

この作品をシェア

pagetop