─ Alice ?─
「は!?えっ…貴方が、スペードさん…?」
この超ナルシスト金髪ロン毛男が…
私の探していたスペードさん…
最悪!!!
「素敵なアリス~そんなに見とれてはいけないよ?私は皆のものなのさ~そんなに見とれていては太陽に怒られてしまうよ?」
意味わからないし!!!
「素敵なアリス~記憶を戻したいのだろう?付いてきたまえ~♪」
くるくると回りながら水の音のするほうへ進むスペードさん。
記憶のためなので、仕方なく付いていくことにした。
仕方なく!
「うわっ…!綺麗…」
森を抜けると湖。
水面が日の光を反射し輝き、
蝶がひらひらと花の周りを舞う。
「美しき湖の畔…蝶の舞う睡蓮華。
そこに、貴女の求めるものがある。」
今までのチャラチャラした雰囲気から一変、
急に真剣に話し出す。
「さあ、アリス。
貴女の記憶の欠片、
私が差し上げましょう?」
ヒラ リ
蝶が 舞う。
漆黒の羽に光を纏う、
綺麗 な 綺麗 な 揚羽蝶。
美しさに気を取られていたのだろうか
我に返るとスペードさんがいなかった。
いや、なにもなかった。
ただの 黒い空間。
そして黒に浮かぶ 白い肌と
【 紅 】い瞳。
ハッキリと捉えることができる
【 白 】 の 人物
「…白兎、さん。」