─ Alice ?─
「待って…シロウサギさん!」
息が上がる。
シロウサギさんは消えたり少し先に現れたり…
「はあっ…はっ…ど、どこまでっ…行くのよ…」
気が付くと森から少し外れ、林檎の木が沢山ある果樹園のような場所に辿り着いていた。
『 ア リ ス 。』
すぐ近くで声がした。
「シロウサギさっ…ひあっ!」
振り向けばすぐ近くにシロウサギさんの綺麗な顔があった。
しかし先ほどみた涙など一切ない、妖しい笑みを浮かべたシロウサギさんの顔である。
「あれ…シロウサギさ…ん?」
何がオカシイのか、シロウサギさんはククク、と笑っていた。妖しく広角を上げ、笑っていた。
『 ア リ ス 。貴女には危機感というものが本当に無いのですね。こんなあっさり私に付いて来て…危険、と考えなかったのですか?』
今まで見たことない。
声に出して笑うシロウサギさん。
その姿は異様で
私の恐怖心を煽る。
『アリスに良い唄を聴かせて差し上げましょう。』
── 唄 ?
『─ アリス が 追うのは
白 兎 。
追っては 駄目 だよ 。
シ ロ ウ サ ギ 。 ─』