─ Alice ?─



私が、アリスに選ばれた理由。
誰も教えてくれなかった。



いくら考えても思いつかなくて

いくら悩んでも尽きることはなかった。




「知っている、の?」



『どうでしょうね。』


にこり、と笑いわざとらしくとぼける。



知っているんだ。



「教え…─」




─── 駄目だよ。ありす─



ドクン



『教え…なんですか?』



─── 僕が教えてあげるから。



まだ、知らなくて良い。──





“ 僕 が 教えて あげる。 ”




「── 誰 ?」



誰なの…どこから聞こえてくるの?




『アリス。誰と話をしているのです?私を見なさい。今、貴女の前には私しか…!?』



目を見開き、わなわなと震え出すシロウサギさん。



『なっ…あっ……どうして、どうして此処に……!!!



こんな所にいるわけ…』



『いるわけない?そうだね…僕もこんな所に君たちがいるなんてビックリしたよ。』





ドクン ドクン ド ク ン

ド ク ン ドクン ドクン ドクン






心臓はこれまでに無いほど跳ね上がり



呼吸を忘れてしまうほど。




黒いシルエットの
私の大好きな人。









「黒兎、お兄さん…。」
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