─ Alice ?─
何故、どうして 。
そんなことどうでもよかった。
目の前には、ずっと会いたかった黒兎さんがいる。
捕まっているはずの黒兎さんが、優しく微笑みながらこちらを見ている。
『アリス。大きくなったね。こんなに綺麗になって…もう子どもじゃないもんね。』
ふんわりと笑う黒兎さんはとても優しくて
涙が、止まらなかった。
『どうしたの?アリス。そんなに泣いて…ふふふ♪中身はまだまだ子どもだね。』
この笑顔を見たかった。
この声が聞きたかった。
「ひっく…。うっ…
会いたかった。
会いたかったの。
黒兎、お兄さん。」
無意識のうちに私は抱き付いていた。もう離れてしまわないように、キツくキツく掴んだ。
『ふふふ♪変わらないなあ…アリスはアリスだね。甘えん坊で泣き虫さん。でも、僕はそんな君のことが───。』
ド ク ン
そんな 君 の ことが──
「黒兎、お兄さ…ん。私、ワタシ…ちょっと、疲れちゃった、かな。少し、少しだけ…眠た、い…」
急激な睡魔に襲われる。
聞きたいことは山ほどあるのに。
もっと、黒兎お兄さんの顔がみたいのに。
シロウサギさんから逃げなくちゃいけないのに。
私は睡魔に支配されてしまう。
『お休みアリス。大丈夫。僕が最高の夢を見せてあげるからね。』