─ Alice ?─



何故、何故、何故…!?


どうして黒兎が此処にいるのです。


確かに女王に突き出した。牢に入っていたはず。なのに、目の前でアリスを抱えている人物は紛れもなく黒兎。



『どうして此処にいるのか…気になる?そうだよね、不思議だよね。だって自分が確かに女王に突き出したもんね?』



この男っ………!!!


知っているのですね。私が仕組んでいたことを。


『それにしても、アリス、本当綺麗になったね。あんなに小さくて可愛らしい女の子だったのに…まあ、相変わらず泣き虫さんには変わりないけどね。』



クスリ、と笑いアリスの頭を撫でる。


『どうして黒兎が此処にいるのです。』


冷静を装い、冷たく言い放つ。


『教える訳ないでしょ?』


にこり、と笑っているが、瞳は冷たい。



『でも失敗だったなあ…もう少し、待ってからの方がよかったかな。』


『……。』



『何故?って顔だね。

だって、アリスの記憶はまだ曖昧なんでしょ?まだ住人にされた酷い仕打ちも思い出してない。まだ、僕だけが特別じゃない。アリス、チェシャ猫を助けようとしているらしいし…全て思い出していたら、そんなことする筈無いもんね。』




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