─ Alice ?─
何を考えているのか全く理解できない。黒兎はにこにこしたまま話を続ける。
『記憶の森のことは思い出したみたいだね。まあ、これだけでもチェシャ猫への好意なんて十分薄れるだろうけど…
足りないんだよね、これだけじゃ。
もっと、もっと、アリスに嫌われてもらわないと。チェシャ猫も、白兎も、勿論…
君もね、シロウサギ。』
愛しそうにアリスを見つめ、私をちらりと見やる。
挑発、といわんばかりの行為。
『私に何を望んでいる?何故、私の前に現れた。』
のこのこ出てくるような奴でないことなどわかっている。黒兎は賢い。何か目的があって、私の前に現れたに違いない。
『さすがだね。まあ、元は同じ。当たり前だよね。』
ふふふ♪と愉快そうに笑い、私に近づく。
『いくつか質問に答えてよ。
長い間捕まっていたんだ。情報不足なんだよね。そうだなあ、まずは…
アリスの首にある二つの咬み痕、誰のものなのか教えてくれる?
シ ロ ウ サ ギ 。』