─ Alice ?─
黒兎お兄さん。
黒兎お兄さん。
どうしてみんなありすに酷いことするの?
どうしてみんなありすを悲しませるの?
どうしてみんな…──
「んっ…あれ?黒兎、お兄さ…ん?」
目を覚ますと、黒兎さんはいなかった。
目の前には立ち尽くしているシロウサギさん。
遠くを見つめ、ブツブツと何か呟いている。
『綺麗な肌が台無し…?乱暴は…台無し……肌…?』
よく分からない単語を連発する。
それより…どうして黒兎さんがいないの?私を置いて、どこかへ行ってしまったの?私と、シロウサギさんを残して?
『ああ!!そうかそういうことだったのですね!!ふふ、ふふふ、はははははは!!!!!アリス、貴女は何て可哀想なんでしょう!!』
壊れたように笑い出す。
何がオカシイの?何が可哀想なの?シロウサギさんの発言一つ一つが理解できないし不愉快に感じる。
「何?何が言いたいの?」
待ってました、といわんばかりの微笑みを浮かべ、一歩、また一歩と私に近づく。
『可哀想なアリス。黒兎に見捨てられて。 』
ドクン
「何、を言っているのよ…。」
ドクン
シロウサギさんの笑みが次第に妖しく歪みだす。
『優しい優しい黒兎お兄さんは、どうして危ないシロウサギさんとアリスを二人きりにしたのでしょうね?』