─ Alice ?─
ド ク ン 。
心臓が大きく跳ね上がる。
「っ…!!チェシャ猫、貴方が…仕組んだの?私を…ありすを、騙した…?」
訳が分からなかった。
チェシャ猫に何をされたのか
私は簡単に騙されていた
チェシャ猫の計画にまんまと嵌められ、大きな過ちを犯してしまった。
私の過ちで、『不思議の国』が消えてしまう。
私の過ちで、沢山の人たちが消えてしまう。
私の過ちで
私の、せいで ・・・
また、この国を 狂 わ せ る 。
ポツポツと、雫のように浮かんでは消えていく記憶。
顔が浮かぶのに、名前が分からない
名前は分かるのに、顔が思い出せない
確実に、私の中を蝕み続けるチェシャ猫の力
チェシャ猫の【 導き 】は破滅へと向かう。
「全て、消してやるよ。
不必要な情報は全て消し去ってやるよ。
アリス…お前は記憶という不必要なものに縛られている。だから弱くて、儚い。だから俺はお前の記憶を消す。
そうすればお前は幸せになれる。」
フッ、と笑ったチェシャ猫は
私を迎えにきたときのように紳士な顔をしていた。